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抗がん剤の副作用対策

皆さん、遅くなりましたが明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。これまで新年の最初はその年の抱負を書くこともありました。今年は久しぶりに海外に行っていろいろ勉強したいなと思って実は一つ計画していたのですが、コロナの影響で早くも延期になってしまいました。そういった状況で今のところ今年の目標は特にありませんが、あまり外出もしないと思いますので、これまで自分が積み重ねてきた中医学を整理してそれをベースにさらに発展させていきたいと思っています。それから年のせいか新しいことにチャレンジするのに少し腰が重くなっている感じがあるのでそれを払拭したいと思っています。疲れがたまらないように体調を整えつつ、マイペースで新しいことにも取り組んでいきたいと思います。

さて、今日はがん治療の副作用に対する漢方治療について書いてみたいと思います。これまでも時々このご相談があり治療させていただいてきましたが、よい効果が出ることが少なくないと思います。最近印象的だったケースがありますのでご紹介したいと思います。それは前立腺がんの患者さんなのですが、ホルモン剤を含む化学療法でほてりやかゆみなどの症状が強く出現し、それによる睡眠障害が1年以上続いている状態でした。一番つらい症状は痒みなのですが、かゆみが出るのは漢方的にみて体が熱を帯びてほてりが出るからで、ほてりをとることが重要になります。そしてほてりに対しては漢方薬が有効なことが多いのです。そこでほてりをとる漢方薬を中心に処方を組んで治療を開始したところ、かなり症状が改善しました。私としてはほぼ予想通りの経過だったのですが、患者さんは抗がん剤を治療を開始してからここまで体調がよくなったことはなかったらしく、期待していた以上ということで大変喜んでいただきました。爪ももろくなっていてこれも何とかならないかとのことでしたが、少し時間はかかりますがおそらくこれもよくなると思います。

それ以外にも抗がん剤による吐き気や倦怠感はほとんどの症例で改善しますし、手足のしびれも改善することが多いです。一方で血液上の変化に対してはそれほどではないことが多く例えば一時的な白血球の減少が改善するケースはそう多くはありません。

抗がん剤はがん細胞をたたくと同時に正常な細胞も痛めつけてしまいます。漢方薬はこの弱った細胞を元気にしたり免疫を上げる効果が期待でき、副作用が複数出ているような状態であれば経験上全く効果が出ないことはなく少なくとも一つは症状が改善します。

もう一つ症例をご紹介すると抗がん剤による吐き気や倦怠感が強くまた白血球の減少も大きく最初に予定していたスケジュールで抗がん剤治療ができなくなった方が、漢方治療を開始してからこれらの副作用がすべて軽減し、逆に当初の予定より抗がん剤治療の回数を増やすことによって結果的に根治となり今も元気に過ごしていらっしゃる方もいます。

がん自体の治療は一般的に難しいことが多くそれは漢方でも同じですが、副作用の改善やADL(日常生活動作)の改善は比較的得意としていますのでがん治療をされる方はそこに漢方薬も加えていただくことを個人的には強くお勧めしたいと思います。