最近このブログで個人的な感想を書くことが多くなってしまった気がします。コロナで人と話す機会が少なくなったからかもしれません(笑)そこで少し方針転換して読んでくれる患者さんや一般の方には方にもう少し役に立つ内容を書いていきたいと思います。
今回は漢方薬の服用方法についてお話ししたいと思います。薬は一般に食間や食前に服用することになっています。昔からこの服用方法が用いられており、薬だけを純粋に服用する形になっています。食後だと食事と混ざることでpHなどが変化して薬の吸収率が変わることがあります。また、ごく一部の生薬は特定の食物との相性がよくないことがわかっていますが、必要があればその旨お伝えしています。しかし、それ以外では実際には影響が出ることはあまりありません。昔病院の漢方外来をしていた時はすべて食後で処方していました。これは患者さんの利便性を考慮したからですが、薬の効果が明らかに違うと感じたことは一度もありませんでした。また胃の状態がよくない方は漢方薬自体が胃に負担になることもあります。その場合は西洋薬と同様に食後に服用するほうが胃の不快感が出ることなく服用できる可能性が高くなります。
また服用のタイミングも意外と重要だったりします。例えば不眠に対する漢方薬はやはり寝る前に服用してもらうほうが効果がいいことが多いです。それ以外でも朝手がこわばるなどの起床時に感じる症状も一般的に眠前に服用していただくと効果がいいです。それから多分これはあまり知られていないと思いますが疲れをとる漢方も眠前がよかったりする場合があります。また胃腸の症状がある方でそこが冷えている方は朝にしっかり服用してもらうのがいいです。なぜなら朝は一日の中で特に冷えているのでそのタイミングで温めるのが効果的だからです。そうでない場合は夕食前にしっかり服用してもらうのがいいです。一般的に夕食が一番消化の力が必要ですからね。
それから他に少し加えて服用してもらうこともあります。例えば酒です。有名な漢方薬の一つである八味丸は原典である金匱要略にその服用方法が記載されていますが、それによると酒で服用するように書かれています。個人的にはそうすることで血行が促進されるのではないかと考えています。日本でも養命酒のようなものもありますし、漢方薬の服用に酒を使用する方法は昔からあります。それ以外では私はよく生姜を使用します。これはスーパーで売っている生姜です。一般的に漢方薬の原料として使用する生姜は乾燥させたもので、これと生の生姜は効能が違います。しかし、生の生姜が原料として流通していないために本来の薬の効果が弱まっている場合があります。そういう場合は生の生姜を少し加えていただくだけでぐっと効果が強くなることがありますので、そういった服用をお勧めすることがあります。
このように漢方薬はその効果をなるべく出そうと思うと用法も様々に変わってくることがあります。