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コロナに対する葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏について

前回お話ししましたように柴葛解肌湯という薬がありまして、これは葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を足したような薬になっています。そしてこの2つ、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏は少し相反する性質をもっています。

ここからはちょっと専門的な堅苦しい話になります(笑)。葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏のベースになっている小柴胡湯は傷寒論という漢方の古典に載っている処方です。傷寒論というのは基本的に風邪の治療法を書いた本なのですが、この本では風邪を大きく6つの病気に分類しています。その中で葛根湯は太陽病、小柴胡湯は少陽病という病気に対する薬になっています。太陽病とはどういうものかというと風邪の初期で寒気や悪寒がして関節痛や頭痛が出ている状態です。これに対して少陽病というのは寒くなったり熱くなったりして喉が渇いて痛くなり、食欲がなくなったり吐き気が出る状態です。

ここまで読んでいかがでしょう。風邪の初期で太陽病の症状が出たことがことがある、という人は多いのではないでしょうか。しかし、少陽病で寒かったり熱かったり?というとあまり記憶にないかもしれません。一般的に風邪の場合に少陽病になることはそれほど多くはありません。

ここでもうひとつ、陽明病というのをご説明します。陽明病は体が熱くほてって汗をかき喉がカラカラになっている状態です。風邪を引いて高熱が出ると熱くなってきて布団を剥いだりすることがありますよね。その状態が陽明病なのです。陽明病に対しては白虎湯という薬が使われますが、この白虎湯の主薬は石膏で、石膏は清熱の力が強い生薬です。実は小柴胡湯加桔梗石膏という薬は小柴胡湯と白虎湯を足したような薬になっていてより熱がるときにいい薬になっています。

これに対して葛根湯は寒がるときに使う薬で体を温める作用があり、温まったときに薬の効果がより発揮されるようになっています。冒頭に述べた意味がわかってきたのではないでしょうか。葛根湯は寒がるとき、小柴胡湯加桔梗石膏はどちらかというと熱がるときに使う薬で相反する性質を持っています。これらを合わせた方がいい場合もありますが、一般的にはそう多くありません。比較的よい適応と思われるのは寒気があって喉が痛い場合です。それ以外の場合は寒気があるのか、あるいは熱っぽいのかで葛根湯か小柴胡湯加桔梗石膏のどちらか一つを使う方がいいです。

それから小柴胡湯加桔梗石膏というのは市販ではあまりなさそうです。明らかに体が熱を持っている場合は小柴胡湯だけでは弱いので小柴胡湯に桔梗石膏か白虎湯を加えて服用する方がいいですが、両方おいているドラッグストアもあまりないかもしれないので市販では難しいかもしれないですね。初期で熱っぽい感じがあるときは銀翹散を使うのも手です。個人的にはむしろそちらをオススメします。