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長引く発熱

今日でお盆前の診療が終わりました。本当なら帰省したり、遊びに行ったりしたいところなのですが、コロナがまた流行ってきてますので今年は自粛です。それで時間もあるので休みの間にブログをいくつか書きたいと思います。

まずは発熱についてです。今年になってからコロナ関係のブログを少なからず書いてきました。未知のウィルスという脅威もあり、何とか漢方で治療できないかといろいろ治療法を考えいざという時のために備えてきましたが、幸か不幸か今のところコロナの患者さんを治療してはいません。しかし、5月に初診を再開してから発熱が続くという患者さんが複数受診されました。それも皆さん1か月以上で一番長い方は2月末から3か月ほど熱が続いていました。医学的には不明熱という診断があって、その定義は3週間以上の発熱が持続し、3日間の入院精査で診断が確定しないもの、となっています。(Curr Clin Top Infect Dis 11:35-51 1991)私のところに受診された患者さんは皆さん入院はしていませんので厳密にいえばこと定義から外れますが、採血、エコー、CTなど入院と同等に近い検査をされていますので、実質的に不明熱と考えてよいと思います。これまでも不明熱の患者さんが受診されることはありましたが、多くても年に1,2人でした。それがわずか1月の間に4,5人受診されたのです。こんなことは初めてでした。

1人を除いてPCR検査はされておらず、最初はどうしてもコロナを念頭に置きながらの治療になりました。中国ではコロナに対する漢方的な診断(弁証)や治療薬の話がいろいろ出ていましたので、それを参考に治療したのですが、期待したほどの効果はなく最初は少し苦労しました。そこで方針転換してコロナのことはいったん忘れて純粋に患者さんの状態から処方を導くようにしたところ皆さん症状が改善し始めました。現在では皆さん解熱しておりその他の症状も治癒に近いところまで改善しています。

これらの方がコロナに感染していたのかはいまだ不明ですが、もし今後コロナの患者さんを診ることがあったとしてもあまり予備知識にとらわれず、自分の診断能力を信じて治療したほうがいいのかなと思っています。それからこれらの患者さんを治療して感じるのはそれほど高熱が出ていなくても決して病邪は弱くないということです。微熱だったら軽めの薬でいいかというとそうではなくてかなり強めの薬を使っていくとそれなりに反応がある印象です。これは今までの不明熱の患者さんにはあまり見られなかった特徴で、やはりコロナだったり何らかの要因があるような気がしています。

ま、何はともあれ皆さんよくなられてこちらとしても一安心です。また上記の理由でコロナの漢方治療を勉強する気がなくなってしまいました(笑)ということでしばらく発熱についてはあまり考えないでおこうと思います。