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本場の中医事情

昨日、初診の患者さんからネット上に出ている漢方サイトについての

意見を求められました。

そのサイトに舌の写真などを送ると上海の中医が処方を出してくれて

それを中国から送ってくるそうです。

なんでも他では治らないような病気が治るんだそうな・・・

 

まあ、こういうサイトは疑って考えるのが一般的なスタンスだと思うのですが

藁をもすがる気持ちの患者さんは気になってしまうのだと思います。

そこで今回は私個人からみたこの業界の事情を少しお話したいと思います。

これまでもそれとなくぼかして書いてきたつもりですが、はっきり言って

中医学が近代で最も盛んでレベルが高かった時代はすでに終わっています。

昔は中医の技術習得は一子相伝ということも少なくありませんでした。

それはその家系に伝わる秘伝を伝える形式であったとともに

それくらいマンツーマンで指導しないと

身につかない部分があったからだと思います。

それが戦後、中国の教育体制が変わり

高い技術を持つ老中医から直接継承されることが少なくなってきました。

中医薬大学の教授になるのも医療技術よりも英語の論文で評価される時代で、

トップの教授の診療レベルが以前より低下していると言われているのが現状です。

ですから全体的に中医のレベル自体が下がっています。

事実、昨年上海の中医薬大学を見学したときも医療レベルについては

特に印象に残るものはありませんでした。

しかし、中国は広大ですから私が知らないような素晴らしい中医も

きっといるとは思います。

ですが少数です。

(そういう先生に巡り会いたいという希望を持って中国に研修に行っています)

ですから本場中国と言っても過度な期待は抱かないほうが賢明です。

私の師匠クラスの中医は中国中を探してもほぼいませんし、

もし見つかったとしても人気で診察してもらうのにおそらく

日本以上に費用がかかると思います。

(私の師匠は自費で診療していますので、一般の中医よりはかなり高額です。

ちなみに診療所は看板も出してないので知らない人は絶対にたどり着けませんが

北京等の遠方からも患者が来ます。

こう書くとなんだか悪いヤミ医者みたいですが、もちろんそんなことはないです。

1日20人ほどの患者しか診ず、たくさん来られても困るので看板を出していません)

ですから本場の中医と言っても本当に素晴らしい中医なのか、

時間をかけてしっかり調べて判断されることをおすすめします。